貴方 3

2004年6月29日 貴方
いつでも部屋の照明を落としているのは何故ですか?
貴方が向かい合うのは、
静かで暗い部屋に浮かび上がる計算機の画面。
辞書のような分厚い本なのに。

こうすれば必ず気付いてくれる。
ヒールを鳴らして部屋に向かうと、
いつしかドアの外の私に気付いて口にする、貴方の世界の言葉が聞こえる。

ほんとうにここにいる?
足を踏み入れれば傍に行ける?
この深い溝を、あの人はどうやって越えたのだろう。

貴方はいともたやすく私の傍まできて、話の続きを語り始める。
その優しさに甘えるのです。
貴方が持つマグの中のコーヒーは、貴方の部屋と同じ色の鏡。
私を映してその中に攫ってしまう。
そうしていつのまにか貴方の手で消えてしまうのです。

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