貴方のことが好き
生きる意味のほとんどが
貴方のためにあると
この手で確かめてしまいました
いつまで一緒にいられるのでしょうか
いつまでこのまま
その背中を見ていられるのでしょうか
雨が降り落ちる場所のように
いつもいつも全てが不確定なまま
生きる意味のほとんどが
貴方のためにあると
この手で確かめてしまいました
いつまで一緒にいられるのでしょうか
いつまでこのまま
その背中を見ていられるのでしょうか
雨が降り落ちる場所のように
いつもいつも全てが不確定なまま
近くなりすぎたかな
貴方との距離
ともに過ごしすぎたかな
貴方との時間
貴方がいなくなると思うと
これまでのことが全部否定される気がして
懸命に名前を探す
生きた痕跡を探す
でもそうする私の目も 手も
砂のように散り
消え去ってしまうのに
やめられない
貴方との距離
ともに過ごしすぎたかな
貴方との時間
貴方がいなくなると思うと
これまでのことが全部否定される気がして
懸命に名前を探す
生きた痕跡を探す
でもそうする私の目も 手も
砂のように散り
消え去ってしまうのに
やめられない
会う度に貴方のことを思う自分に気付かせられる
でも離れれば忘れる
忘れなければいけないから
頭の中を白く塗りつぶしてしまう
優しい眼差しが降り注ぐときも
そうでないときも
貴方といる時間は貴重で、身体がその場にあるものを
全部吸い取ろうとする
でも離れれば忘れるのです
この想いも
この痛みも
でも離れれば忘れる
忘れなければいけないから
頭の中を白く塗りつぶしてしまう
優しい眼差しが降り注ぐときも
そうでないときも
貴方といる時間は貴重で、身体がその場にあるものを
全部吸い取ろうとする
でも離れれば忘れるのです
この想いも
この痛みも
冷たい水が空から落ちて
乾いた地面に染み込む時の良い匂い
どんなに汚れた心を洗った涙でも
爽やかな匂いがする
どちらも優しい
眼鏡の奥の瞳が冷たい色を消すことがない
貴方の涙は
何にも染み込まずに弾けて
どこまでも遠くに行ってしまうような気がする
探しに行こうとしたけれど
涙を零したことがあるのかしら
五月雨のように誰かの胸で静かに泣くのかしら
涙も冷たいのかな
傘をささずに瞳を覗きこむけれど
何も見えない
乾いた地面に染み込む時の良い匂い
どんなに汚れた心を洗った涙でも
爽やかな匂いがする
どちらも優しい
眼鏡の奥の瞳が冷たい色を消すことがない
貴方の涙は
何にも染み込まずに弾けて
どこまでも遠くに行ってしまうような気がする
探しに行こうとしたけれど
涙を零したことがあるのかしら
五月雨のように誰かの胸で静かに泣くのかしら
涙も冷たいのかな
傘をささずに瞳を覗きこむけれど
何も見えない
ここにいる貴方のこと
一番知っているのは私
あの人じゃない
それは確かなことで
でも
ここにいない貴方のこと
一番知っているのは彼女
時間だけならそんなに変わらない
でも距離はたくさん
目に見えないほどの
決して到達できないほどの遠い場所に
貴方は帰る
私は貴方を止めない
貴方も私を止めない
雨の夜
一番知っているのは私
あの人じゃない
それは確かなことで
でも
ここにいない貴方のこと
一番知っているのは彼女
時間だけならそんなに変わらない
でも距離はたくさん
目に見えないほどの
決して到達できないほどの遠い場所に
貴方は帰る
私は貴方を止めない
貴方も私を止めない
雨の夜
仕事の帰り道
一緒に帰っていた同僚が一人消え二人消え
いつのまにか貴方と二人きり
この前の出来事などそ知らぬ顔で
昔話や他愛もない話を紡ぎつづける残酷な唇
すごく、近い
温度がわかる
手もそこにある
貴方は忘れてしまった?
かもしれない
乗り換えの駅に着いて降りることを告げる
私と駅を貴方はじっと見た
同じ電車に乗り換えても貴方は帰れるから?
送ってくれようと一瞬思った?
何かが怖くて後ろを見ることができない
でも何故か涙が毀れそうで
虚ろに眠ったふりをした
一緒に帰っていた同僚が一人消え二人消え
いつのまにか貴方と二人きり
この前の出来事などそ知らぬ顔で
昔話や他愛もない話を紡ぎつづける残酷な唇
すごく、近い
温度がわかる
手もそこにある
貴方は忘れてしまった?
かもしれない
乗り換えの駅に着いて降りることを告げる
私と駅を貴方はじっと見た
同じ電車に乗り換えても貴方は帰れるから?
送ってくれようと一瞬思った?
何かが怖くて後ろを見ることができない
でも何故か涙が毀れそうで
虚ろに眠ったふりをした
棚からたくさんの本が崩れ落ち
慌てて拾う私の手には一杯の本
自分の部屋の惨状を見ても動じない貴方は
私に歩み寄り
「好都合だね」と一言
首元に手が掛けられ
何事かと目を伏せた瞬間
訪れたキス
どうしようもない胸の鼓動を悟られまいと
手の本を棚に戻した瞬間に
振り返らずに部屋を出た
慌てて拾う私の手には一杯の本
自分の部屋の惨状を見ても動じない貴方は
私に歩み寄り
「好都合だね」と一言
首元に手が掛けられ
何事かと目を伏せた瞬間
訪れたキス
どうしようもない胸の鼓動を悟られまいと
手の本を棚に戻した瞬間に
振り返らずに部屋を出た
その視線は私を貫いて
優しさは私を不安に陥れる
このすれ違いは
私達の機構の違いから来ているのかもしれない
貴方が痛くても私は痛くないから
その逆も然り
互いに決して傷つける気持ちは無いのに
それもわかっているのに
また血が流れている
それでも私が貴方を傷つけることは
きっとできないのでしょう
太陽が月に追いつけないみたいに
優しさは私を不安に陥れる
このすれ違いは
私達の機構の違いから来ているのかもしれない
貴方が痛くても私は痛くないから
その逆も然り
互いに決して傷つける気持ちは無いのに
それもわかっているのに
また血が流れている
それでも私が貴方を傷つけることは
きっとできないのでしょう
太陽が月に追いつけないみたいに
貴方の中で紡がれた言葉は
透明で
そのままの意味が伝わるような気がする
それはとても綺麗な営みで
時に冷酷でもあり
その本質はただただ優しい
貴方の完全な優しさを鏡のように映す言葉を
欠片でもいいから独り占めしたい
そう思い始めて千の夜
私の鏡は透明になりましたか
貴方に伝わるようになったでしょうか
透明で
そのままの意味が伝わるような気がする
それはとても綺麗な営みで
時に冷酷でもあり
その本質はただただ優しい
貴方の完全な優しさを鏡のように映す言葉を
欠片でもいいから独り占めしたい
そう思い始めて千の夜
私の鏡は透明になりましたか
貴方に伝わるようになったでしょうか
貴方に声をかけてもらったのに
心が晴れなかった
こんなことは初めて。
貴方が忙しそうだから?
それとも
研究に自信がない私の心を見透かされ
面倒に思われてしまう、と
逃げ腰になった心を見破られただろうか
この弱い心は自分のせいだけれど
貴方を見ても元気が出ない時に
私はどうしていいかわからなくなってしまった
絶望という状態はこれかもしれない
心が晴れなかった
こんなことは初めて。
貴方が忙しそうだから?
それとも
研究に自信がない私の心を見透かされ
面倒に思われてしまう、と
逃げ腰になった心を見破られただろうか
この弱い心は自分のせいだけれど
貴方を見ても元気が出ない時に
私はどうしていいかわからなくなってしまった
絶望という状態はこれかもしれない
資料を渡す手に触れた
初めて感じた貴方の温度
ここにいるんだ と
思った
後輩達と話す貴方を見るたびほほえましく
好きな物を食べて喜ぶ貴方を見て嬉しくなり
拗ねる貴方を見て優しくなれる
帰り際に電車の中で
私を見つけて
名前を呼んでくれた
偶然同じ車両に駆け込み乗車してきた貴方のことは
私のほうは最初から気付いていました
手を振ってあの人のところに帰る貴方を
笑顔で見送ることのできる自分が
嫌いにはなれない
人間は理性の生きもの
私は感情に任せて壊すようなまねはしない
それが貴方と私の共通認識であることは間違いない
初めて感じた貴方の温度
ここにいるんだ と
思った
後輩達と話す貴方を見るたびほほえましく
好きな物を食べて喜ぶ貴方を見て嬉しくなり
拗ねる貴方を見て優しくなれる
帰り際に電車の中で
私を見つけて
名前を呼んでくれた
偶然同じ車両に駆け込み乗車してきた貴方のことは
私のほうは最初から気付いていました
手を振ってあの人のところに帰る貴方を
笑顔で見送ることのできる自分が
嫌いにはなれない
人間は理性の生きもの
私は感情に任せて壊すようなまねはしない
それが貴方と私の共通認識であることは間違いない
自分がいない世界よりも、
貴方がいない世界の方が価値がない。
そこまで思わせる存在感。
自分の存在を否定する理由がない私を、
空虚にさせることができる貴方を見つけてしまった。
たんにその事実を畏れているのかも知れない。
でも心から尊敬しています。
それらは両立可能です。
勿論、他の雑多な私の感情のすべても、
貴方の存在と両立可能です。
もし貴方が消えてしまっても、
いまならきっと平気。
これからどうなるかは、貴方にもきっとわからない。
だからこの世界は盲目的に明日を待つことができる。
貴方がいない世界の方が価値がない。
そこまで思わせる存在感。
自分の存在を否定する理由がない私を、
空虚にさせることができる貴方を見つけてしまった。
たんにその事実を畏れているのかも知れない。
でも心から尊敬しています。
それらは両立可能です。
勿論、他の雑多な私の感情のすべても、
貴方の存在と両立可能です。
もし貴方が消えてしまっても、
いまならきっと平気。
これからどうなるかは、貴方にもきっとわからない。
だからこの世界は盲目的に明日を待つことができる。
このまま長い休みが続いて、会う理由もなければ、
貴方のことを忘れるかもしれない。
そんなことを言いはじめたら、
いつか全てを忘れるのだということを肯定したくない気持ちになる。
全部忘れないことを前提に、貴方のことだけを忘れるから
価値があるのに。
自分のことも貴方のことも忘れないで居られるとしたら、
何を差し出すだろう。
それ以上の価値があるものを人間は持っている?
それとも忘れること自体が絶対の価値なのか。
貴方は最後に何を話すだろう。
貴方のことを忘れるかもしれない。
そんなことを言いはじめたら、
いつか全てを忘れるのだということを肯定したくない気持ちになる。
全部忘れないことを前提に、貴方のことだけを忘れるから
価値があるのに。
自分のことも貴方のことも忘れないで居られるとしたら、
何を差し出すだろう。
それ以上の価値があるものを人間は持っている?
それとも忘れること自体が絶対の価値なのか。
貴方は最後に何を話すだろう。
顔を見たら、声を聴いたら、
やっぱり脳から何かが分泌されて、
変化が生じる。
特別な貴方を感じる。
貴方が次に何を話すか知りたくて、
貴方に言われた本を読んで、
夏の暑さに打たれる。
自分が何者かを知る。
単なる機械に、自動制御されるものに、
生命は必要ない。
私には私の時間を生きる義務があることも、
貴方を見なければすぐに忘れてしまっていた。
今日は空の恋人達が巡り合う日。
私は貴方に会いに行けるけれど、
その時間と存在を貪る清廉な気持ちは、いつしか変わっていくのでしょうか。
それとも空の恋人達のように、作られた永遠に浸るのでしょうか。
貴方のいない世界に行けば、
機械になりたがっている私はすぐに、
システムを維持することだけを考えるモノに変わる。
変わりたくないという思いは無に帰す。
その思いを抱いていたことごと、すべて忘れてしまう。
やっぱり脳から何かが分泌されて、
変化が生じる。
特別な貴方を感じる。
貴方が次に何を話すか知りたくて、
貴方に言われた本を読んで、
夏の暑さに打たれる。
自分が何者かを知る。
単なる機械に、自動制御されるものに、
生命は必要ない。
私には私の時間を生きる義務があることも、
貴方を見なければすぐに忘れてしまっていた。
今日は空の恋人達が巡り合う日。
私は貴方に会いに行けるけれど、
その時間と存在を貪る清廉な気持ちは、いつしか変わっていくのでしょうか。
それとも空の恋人達のように、作られた永遠に浸るのでしょうか。
貴方のいない世界に行けば、
機械になりたがっている私はすぐに、
システムを維持することだけを考えるモノに変わる。
変わりたくないという思いは無に帰す。
その思いを抱いていたことごと、すべて忘れてしまう。
今日は貴方にどんな顔をして会おう。
何を話題にしようか。
少しだけ隣に座って、部屋に響く貴方の声を聴こう。
それだけにしよう。
好きになる理由がわかっているなら、
これ以上何を望もう?
他には何も必要ないのに。
何を話題にしようか。
少しだけ隣に座って、部屋に響く貴方の声を聴こう。
それだけにしよう。
好きになる理由がわかっているなら、
これ以上何を望もう?
他には何も必要ないのに。
いまここで意識を失わないだろうか
そうしたら
きっとその手でソファに運ばれる
こんなつまらない空想をするのも、
触れたことがない所為。
その存在と質量を触れて確かめたい。
「見ないで信じるものは幸い」
そうでしょうね。
不幸せな私は見ても信じられない。
貴方について何か信じたくないことがある。
それに目を瞑ると、貴方そのものが揺らぐ。
確信できない理由はたったこれだけのこと。
貴方がそうするから、
気付かないふりをしているだけ。
気付いていることを相互認識すれば、どうなるか。
言葉にすれば陳腐。
なんでもそう。
そんな世界の事実を貴方が知っているということを、
私も知っている。
そうしたら
きっとその手でソファに運ばれる
こんなつまらない空想をするのも、
触れたことがない所為。
その存在と質量を触れて確かめたい。
「見ないで信じるものは幸い」
そうでしょうね。
不幸せな私は見ても信じられない。
貴方について何か信じたくないことがある。
それに目を瞑ると、貴方そのものが揺らぐ。
確信できない理由はたったこれだけのこと。
貴方がそうするから、
気付かないふりをしているだけ。
気付いていることを相互認識すれば、どうなるか。
言葉にすれば陳腐。
なんでもそう。
そんな世界の事実を貴方が知っているということを、
私も知っている。
夏の陽に目がくらむ。
温い南風が私の髪を攫って、慣れない高いヒールを履いた足がよろめく。
側のコーヒーショップで冷たいものを飲もうとした。
そのとき。
後ろから貴方の声。
驚く私をよそに、私に追いついた貴方は、研究のことを矢継ぎ早に話し始める。
挨拶もなしに。
貴方は好きなコーヒーに見向きもしなかった。
歩く速さをあわせてくれる。
目線の高さをあわせてくれる。
知らずに私の気持ちは緩んでいく。
ヒールで坂道を登ることも、もう辛くなかった。
温い南風が私の髪を攫って、慣れない高いヒールを履いた足がよろめく。
側のコーヒーショップで冷たいものを飲もうとした。
そのとき。
後ろから貴方の声。
驚く私をよそに、私に追いついた貴方は、研究のことを矢継ぎ早に話し始める。
挨拶もなしに。
貴方は好きなコーヒーに見向きもしなかった。
歩く速さをあわせてくれる。
目線の高さをあわせてくれる。
知らずに私の気持ちは緩んでいく。
ヒールで坂道を登ることも、もう辛くなかった。
何が見えているのかもわからない貴方の目を覗き込むと、
睫の奥に私が映る。
人と話すときにも目を合わせないというその瞳に、
映る自分を見る。
懸命に紡ぐ言葉を待って、
貴方は私を見ている。
息が詰まる。
貴方は微笑んでいる。
雨がやんだら、
次の用事に行かなければ。
明るくなりゆく空に目をやると、
貴方は私の心を見透かしてマグに飲み物を注ぐ。
離して。
離さないで。
呼吸が止まる。
貴方は私の前にコーヒーを置いて、
静かに計算機の電源を入れた。
睫の奥に私が映る。
人と話すときにも目を合わせないというその瞳に、
映る自分を見る。
懸命に紡ぐ言葉を待って、
貴方は私を見ている。
息が詰まる。
貴方は微笑んでいる。
雨がやんだら、
次の用事に行かなければ。
明るくなりゆく空に目をやると、
貴方は私の心を見透かしてマグに飲み物を注ぐ。
離して。
離さないで。
呼吸が止まる。
貴方は私の前にコーヒーを置いて、
静かに計算機の電源を入れた。
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