貴方 5

2004年7月1日 貴方
夏の陽に目がくらむ。
温い南風が私の髪を攫って、慣れない高いヒールを履いた足がよろめく。
側のコーヒーショップで冷たいものを飲もうとした。
そのとき。

後ろから貴方の声。
驚く私をよそに、私に追いついた貴方は、研究のことを矢継ぎ早に話し始める。
挨拶もなしに。
貴方は好きなコーヒーに見向きもしなかった。

歩く速さをあわせてくれる。
目線の高さをあわせてくれる。
知らずに私の気持ちは緩んでいく。

ヒールで坂道を登ることも、もう辛くなかった。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索