貴方の手の温度

2004年8月20日 貴方
資料を渡す手に触れた
初めて感じた貴方の温度
ここにいるんだ と
思った

後輩達と話す貴方を見るたびほほえましく
好きな物を食べて喜ぶ貴方を見て嬉しくなり
拗ねる貴方を見て優しくなれる

帰り際に電車の中で
私を見つけて
名前を呼んでくれた

偶然同じ車両に駆け込み乗車してきた貴方のことは
私のほうは最初から気付いていました

手を振ってあの人のところに帰る貴方を
笑顔で見送ることのできる自分が
嫌いにはなれない

人間は理性の生きもの
私は感情に任せて壊すようなまねはしない
それが貴方と私の共通認識であることは間違いない

milky way

2004年8月17日 ことばの欠片
心のどこかで
貴方のことなんてとっくに諦めている
かなわぬ思いはいつも
貴方の背中にぶつかり砕け散っていく

その欠片があちこちに降り積もって
私と貴方を隔てる天の川になった
自業自得だね

現実は

2004年8月6日 ことばの欠片
貴方のそばにいる人は本当に綺麗で
いつも笑っていて
信じられないほどの距離感で
貴方と一緒にいる

そんな貴方達を目の当たりにするたび
不思議な感覚に襲われて
明るく騒いでしまう

自分は遠くにいられればいいと
納得してしまう

美しさ

2004年8月4日 ことばの欠片
世界と自分の基準との符合
それが美しさの原因

だからひとりよがりの想像や夢はとても美しい
例えば恋人が死んだ後に
続いていたはずの世界を思い浮かべて
それを美しいと思うのは当たり前

だって貴方がいなければ
架空の貴方を自分が好きなように改造してしまえるもの
無理やり自分にとって正しいものにする
改竄かもしれない

死んだ人との恋愛の続きなんて
ほんとうは綺麗なんかじゃなくて
真実以外のものはすべて美しいだけのこと

一番美しいのは真実でなければならないと
皆わかっているのに

貴方 10

2004年7月28日 貴方
自分がいない世界よりも、
貴方がいない世界の方が価値がない。
そこまで思わせる存在感。

自分の存在を否定する理由がない私を、
空虚にさせることができる貴方を見つけてしまった。
たんにその事実を畏れているのかも知れない。

でも心から尊敬しています。
それらは両立可能です。
勿論、他の雑多な私の感情のすべても、
貴方の存在と両立可能です。

もし貴方が消えてしまっても、
いまならきっと平気。
これからどうなるかは、貴方にもきっとわからない。
だからこの世界は盲目的に明日を待つことができる。
人は一人では生きていけないってほんとう?
一人になったらみんな死んでしまうのですか?
まさかね

一人でいるのが辛いから、
構ってほしいから、何をしてもいいの?
悲しい時には誰かに慰めてもらわなければ立ち直れない?
まさかね

ほんとうにそうでなくては駄目なのならば、
とっくに死んでいるよ

悩んでいる姿を見せるのがそんなに偉いのならば、
涙を堪えて他人を見送るひとは悲惨な生き物
あなたの一方通行の泣き言を聞いて頭をなでてくれる人は
かわいそうだね
あなたがいるのに独りだもの

指と糸

2004年7月26日 ことばの欠片
一番好きでなければいけませんか
全部好きで何がいけないの
誰かが間違いだと言うの
少なくとも神様はそんなこと言わない

順位付けをしてものを占有したがるのは
単なる弱者のルール
ほんとうは平等に与えられるものなんてないのに
それには気付かない振り

欲しいものは何でも手に入れる
そう思う人もいるし事実そうする人もいる
その人の指にはたくさんの糸がかかっていて
少し重かった

ただそれだけの違い
「それだけ」の覚悟もないのに泣きごと?

たくさんの糸をつかむ指の反対の手には
鋏が光っている
鮮烈な指

貴方 9

2004年7月26日 貴方
このまま長い休みが続いて、会う理由もなければ、
貴方のことを忘れるかもしれない。
そんなことを言いはじめたら、
いつか全てを忘れるのだということを肯定したくない気持ちになる。

全部忘れないことを前提に、貴方のことだけを忘れるから
価値があるのに。

自分のことも貴方のことも忘れないで居られるとしたら、
何を差し出すだろう。
それ以上の価値があるものを人間は持っている?
それとも忘れること自体が絶対の価値なのか。

貴方は最後に何を話すだろう。

散る夏

2004年7月23日 ことばの欠片
遭うことが裏切りになるのは
未だ好きということ

いくら別の言葉で繕っても
ほんとうのことなんていつも単純で怖いくらい

ただ60分だけ
この窓辺に来て
私に可愛がられて帰った鳥

このくらいの距離がちょうどいいね

恐怖

2004年7月22日 ことばの欠片
独りでいたい

すべてのものを分析したいけれど
自分は分析されたくない

貴方の目を見ていると
もう私に関する分析は尽くされていそうで
そうしたら
もう私はここには居られないのではないかと
孤独な暗闇に突き落とされる

他人が居るから独りが在り
貴方がいるから孤独が恐ろしいものになる
自分が何者かわからないままで
いさせてくれませんか

キミへ 消去

2004年7月15日 キミ
ばいばい。
昔大切にしたキミ。

もう生きているのも死んでいるのも同じことにしましょう。
他人でもなく知り合いでもなく、
存在するものと存在しないものの境目に、
キミを閉じ込めて永いお別れ。

キミヘ 8

2004年7月12日 キミ
せっかくの舞台に輝けないキミを見た。
そんなことはわかっていたし、
キミ自身もわかっていて、ただただ心に防衛線を張る。

くだらない。

つまらない時間の使い方。

全てのものから自分を守って、どうしたいの?
自分を何のために使うの?
殻に籠る意味がないのだから、剥き出しの心で外に触れて。

ずっとそのままのキミを見ていることすら、
時間の無駄に思えてきた。
切断の期限がまた近づいたね。

キミへ 7

2004年7月8日 キミ
キミが返事をする理由はひとつ。
私の世界を自身から切り離さないため。
いくら周りに非難されても、キミは答えるしかなかった。
自分のために。

でももう離れていい。
キミはキミを守ってくれる人と生きて。
私はキミを見ているのは好きだけれど、
キミの側にはいたくないのです。
子供の遊びみたいに、おもちゃを上手に扱うこともできない。
そんなキミたちを見て笑っているの。
私は。

壊れるのも、繋がるのも勝手。
干渉する気はない。
傷つくのは自分の責任で、
傷つけられるのも自分の責任でしょう?
他人の肩にその責任を乗せようとしないで。
利用される気もない。

キミを一人にしても、私は得をしないけれど、
見ている分には面白いかもね。
そんな私にキミが気付いたらどうするかしら。
そろそろキミの夢から消えてもいいかな。

貴方 8

2004年7月7日 貴方
顔を見たら、声を聴いたら、
やっぱり脳から何かが分泌されて、
変化が生じる。

特別な貴方を感じる。

貴方が次に何を話すか知りたくて、
貴方に言われた本を読んで、
夏の暑さに打たれる。

自分が何者かを知る。

単なる機械に、自動制御されるものに、
生命は必要ない。
私には私の時間を生きる義務があることも、
貴方を見なければすぐに忘れてしまっていた。

今日は空の恋人達が巡り合う日。
私は貴方に会いに行けるけれど、
その時間と存在を貪る清廉な気持ちは、いつしか変わっていくのでしょうか。
それとも空の恋人達のように、作られた永遠に浸るのでしょうか。

貴方のいない世界に行けば、
機械になりたがっている私はすぐに、
システムを維持することだけを考えるモノに変わる。
変わりたくないという思いは無に帰す。
その思いを抱いていたことごと、すべて忘れてしまう。

貴方 7

2004年7月6日 貴方
今日は貴方にどんな顔をして会おう。
何を話題にしようか。

少しだけ隣に座って、部屋に響く貴方の声を聴こう。
それだけにしよう。

好きになる理由がわかっているなら、
これ以上何を望もう?
他には何も必要ないのに。
鎖を逃れてどこに行こうと言うの?
自分でつけた鎖を外すなんてどうかしている

金属はすっかり弱って
キミを捕まえる気もないみたい

こんなに綺麗な青空も
キミには冷たい青
自らの凍えた心を映す鏡のよう

壊れていくキミと鎖を
私は労るでもなく撥ね付けるでもなく
ただ見ている
空に心を置き忘れたみたいに
海に心を隠してきたみたいに

ほんとうはどうしたいのかなんて
偽善に対する答えなんかない
ものが壊れていく眺めは思ったより悪くないよ
「傷開くで、もうやめとき」
痛いほうがいい?
それならもっと方法があるよ

「しんどない?話聞こか?」
耐えられるかな
甘えると後が辛いだけだよ

「ほんまは君のこと好きなんよ」
大嘘つき
飴と鞭って知ってる?

「しゃーないって」
自分が悪者になるのが怖いなら自我を捨てれば?
硝子の器みたいに

「みんな君の味方や」
救いが必要なのは誰?
少なくとも君じゃないよ ってこと

貴方 6

2004年7月2日 貴方
 いまここで意識を失わないだろうか
 そうしたら
 きっとその手でソファに運ばれる

こんなつまらない空想をするのも、
触れたことがない所為。
その存在と質量を触れて確かめたい。

「見ないで信じるものは幸い」
そうでしょうね。
不幸せな私は見ても信じられない。

貴方について何か信じたくないことがある。
それに目を瞑ると、貴方そのものが揺らぐ。
確信できない理由はたったこれだけのこと。

貴方がそうするから、
気付かないふりをしているだけ。
気付いていることを相互認識すれば、どうなるか。

言葉にすれば陳腐。
なんでもそう。
そんな世界の事実を貴方が知っているということを、
私も知っている。

貴方 5

2004年7月1日 貴方
夏の陽に目がくらむ。
温い南風が私の髪を攫って、慣れない高いヒールを履いた足がよろめく。
側のコーヒーショップで冷たいものを飲もうとした。
そのとき。

後ろから貴方の声。
驚く私をよそに、私に追いついた貴方は、研究のことを矢継ぎ早に話し始める。
挨拶もなしに。
貴方は好きなコーヒーに見向きもしなかった。

歩く速さをあわせてくれる。
目線の高さをあわせてくれる。
知らずに私の気持ちは緩んでいく。

ヒールで坂道を登ることも、もう辛くなかった。

貴方 4

2004年6月30日 貴方
何が見えているのかもわからない貴方の目を覗き込むと、
睫の奥に私が映る。
人と話すときにも目を合わせないというその瞳に、
映る自分を見る。

懸命に紡ぐ言葉を待って、
貴方は私を見ている。
息が詰まる。
貴方は微笑んでいる。

雨がやんだら、
次の用事に行かなければ。
明るくなりゆく空に目をやると、
貴方は私の心を見透かしてマグに飲み物を注ぐ。

離して。
離さないで。
呼吸が止まる。

貴方は私の前にコーヒーを置いて、
静かに計算機の電源を入れた。

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